飴屋法水「彼の娘」
不思議な小説だ。小説と言うのも少し違うのかもしれない。
写真が非常に多く、どれも解像度は低い。
作者本人を思わせる男と、その娘が出てくる。娘は 好奇心旺盛に生きている。
自分は半分ホトケだと、ちょっとびっくりするようなことも言う。
作者本人のファンからすると、明らかにノンフィクションだろうとわかる描写がいくつもある。
娘の名前も事実と同じだ。
「おくるみ」から取った「くるみ」ちゃん。くんちゃん。
これは、小説だろうか。エッセイではない。演劇にも似ているような気がする。
だがそもそも、家族で出演する演劇など、非常に私小説的な演劇も飴屋法水は作成している。
多分ジャンルにこだわることには意味がない。
動物として、父や母から続いていること。子供につながっていくこと。
それはとても偶然に左右されたことで、だけど同時にとても人間的であること。
非常に感想が書きにくい。だが、飴屋法水的というしかないエッセンスが確かに凝縮されている。