Filigree & Shadow

読んだこと見たこと考えたこと

本当にそれを選んだのか(『職業としてのAV女優』)

 

AVは人気職業になった、という点からその仕事の現状や苛酷さを説明している新書。

アドラーの後にこの本を読むと、なかなかうんざりしてくる。
これこそあきらかに意志の結果ではなく、背景にあるのはどう考えても貧困である。

AV女優が人気職業になり、容姿のレベルも上がっているという。そうせざるをえない現実。
これは、単身の未婚女性の多くが非正規雇用であり、まともに食べていけないという現実の反映であるのだろう。

だが、ならばアドラーの考え方は誤っているだろうか。

もし一人ひとりのライフヒストリーを聞き取ったとしたら、「これは自分の選択の結果だ」という物語が聞けるに違いない。
個人の認識はそのように過去のやむを得ない選択を語り直す。

マスで見た時、その選択は社会状況の反映である。
昔は誰もがお見合いをして結婚した。
今は結婚しない人も多い。それは明らかに様々な社会状況によって作られた選択なのだが、個人のライフヒストリー上では、自身の選択に帰せられる。

だから、未婚女性たちは「タラレバ」の想像に陥る。(東村アキコ『東京タラレバ娘』)

知識があることや、発信者側に回ることのメリットは、人をマスで見ることができるということだ。
結婚したいけれどできない女性がいたとして、それは社会的なライフスタイルの変化、収入、仕事、本人の資質、色んなことが複合してそのようになっている。

だけど、他ならない私自身は一人である。
自分の人生の物語を、無数のものの一つとして客観視することはたぶん、不可能だ。

だから、自分が辛くならない程度に時にマスにカメラを引きつつ、「この私」を生きていくしかない。

 

 

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

 

 

東京タラレバ娘(1) (KC KISS)

東京タラレバ娘(1) (KC KISS)

 

 

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