きがくるわないようにする

読んだこと見たこと考えたこと

トーニャとモリーのゲーム(何にせよ人生は続く)

『モリーズ・ゲーム』日本版オリジナル予告 アーロン・ソーキンの監督デビュー作、本作の冒頭でモリー・ブルームはいろいろなスポーツマンの、最悪な瞬間について語る。 例えば、オリンピックで4位だったこと。 そしてモリーが、そもそもオリンピックに出れ…

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー(ヒーローは功利主義を超えるのか?)

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」本予告 ごちゃごちゃになるんじゃないかな、と思いきやならない。たくさんの映画の人物が合流するのに、流れがとにかく自然、明らかに不自然な雷神とかいるのに。 それまでの各映画の流れ、キャラがちゃんと生き…

飴屋法水「彼の娘」

不思議な小説だ。小説と言うのも少し違うのかもしれない。 写真が非常に多く、どれも解像度は低い。 作者本人を思わせる男と、その娘が出てくる。娘は 好奇心旺盛に生きている。 自分は半分ホトケだと、ちょっとびっくりするようなことも言う。 作者本人のフ…

飴屋法水「何処からの手紙」の記録

※作品の内容のネタバレに当たるものを含みます。行かれる方は見ないことを推奨。 kenpoku-art.jp ※このガイドは現地に行くと無料でもらえる。 四ヶ所の郵便局に事前に手紙を書き、送られてきた手紙に基づいて各所を訪れるというもの。手紙にはそれぞれ地図、…

10万時間

を費やせば、それなりのものができるようになるのだという。 うろ覚えだが西尾維新は対談で、「10万時間を費やしたら、次はもう20万時間を費やすしかなくなる」と話していた。 どうして何かができるようになりたい、と願ってしまうのだろう。 そうやって…

ディン・Q・レ展

森美術館 www.mori.art.museum ベトナム戦争がいやにフューチャーされている、と思ったけれど、まだ40年前程度のことなわけで、当たり前なのかもしれない。 自分自身を掘り下げたりするんじゃなく、「ベトナム人としての歴史」をすごく全面に出して(西洋中…

サイ・トゥオンブリー@原美術館、特に期待していなかったけれどとても良かった。 抽象表現主義、であったり、神話の名前がいちいちついていたり、なんとなく底深そうな体裁はもとより、カラー作品の色の組み合わせがとてもきれい。 単純な感想だけれど、見…

楽をしたい、というのは限られた条件下の欲望だと思う。 そうじゃなかったら、努力をしてしまったほうが楽だ。 少なくとも前に進んでいるような、ポジティブな気持ちにはなれる。何かまだ余地がある、変えられる、と感じることにかなり気分は左右される。模…

小山田二郎展がすごい

地味に素敵なキュレーションで知られる府中市美術館で、また最高な展示を見た。 小山田二郎展。 最初に彼の作品を見たのは、何かの企画展の時に小部屋に展示されていたものだった。ゆめにっきに出てくるような鳥女の異様な絵に、すぐにノックアウトされて検…

本当にそれを選んだのか(『職業としてのAV女優』)

AVは人気職業になった、という点からその仕事の現状や苛酷さを説明している新書。 アドラーの後にこの本を読むと、なかなかうんざりしてくる。これこそあきらかに意志の結果ではなく、背景にあるのはどう考えても貧困である。 AV女優が人気職業になり、容姿…

選べると選べないの間(『アドラー 人生を生き抜く心理学 』)

アドラーの思想は、おおまかに言えば目的論である。 あの人のルーズな性格が嫌だから付き合わなかった、のではなく、付き合いたくなかった→だからルーズな性格だという理由をあとから付けた、と考える。 この考え方のいいところは、人間の意志を最大限評価し…

2013年の記録

本 1 ギヴァー 平穏な生活が綻んで世界の膜がめくれ、本当の姿が明らかになる様が圧巻。世界の外へ駆け抜ける疾走感も良い。こういう構造、ストーリーの小説が本当に好きなので、出会えたことが嬉しい。 2 しろいろの街の、その骨の体温の これも狭いニュ…

テイク・ディス・ワルツ

『テイク・ディス・ワルツ』予告編 2011年のカナダのコメディ・ドラマ映画である。 サラ・ポーリーの長編映画監督2作目である。 キャッチコピーは『しあわせに鈍感なんじゃない。さみしさに敏感なだけ』。 フリーライターのマーゴ(ウィリアムズ)は、取材で…

飴屋法水 「ブルーシート」の記録

何かを見に、遠出するときは少し緊張する。 もしそれが期待するようなものでなくても、旅行をしたというだけで満足なのか、そうじゃないのか。 お金と時間をかけて遠出することで、たとえどんな作品であっても、見に来てよかったと自分で補正してしまうこと…

2012年の記録

今年は大量にマンガを買い込むことをやめて、本も服もたくさん処分し(たぶん1000冊は超える)、引越しをした。 本はすぐにまた増えてきていて、小さな本棚はすぐに一杯になってしまったけれど、選んで、また捨てるだろう。 とても好きなものしか、この…

飴屋法水 「わたしのすがた」 の記録

わたしのすがた 飴屋法水 F/T09(フェスティバル・トーキョー) 西巣鴨 戯曲や芝居のない演劇。 指定された4か所の家を回る。それぞれの家には誰もいないが、アナウンスのような紙が貼ってあり、誰かがいた「気配」だけが残されている。 1 はじまりの穴 2…

被災地の写真を見るということ

新宿のコニカミノルタプラザで「DAYS JAPAN が選んだ3.11」展をやっている。改めて、震災が起きたのが今年であり、まだ1年も経たないことであるのに驚く。けれど、展示の中には、インターネットや雑誌で何度も見て、既に見慣れた写真も多い。 4月、私はい…

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ポーの一族 トーマの心臓 ユービック スリーピング・マーダー アビシニアン POLLINATION LOGOS 記憶/物語 きみよわすれないで アクアリウムの夜 この闇と光 笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE 存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて ニーチェ 絶望・…

飴屋法水演出「おもいのまま」の記録

とある高級住宅街の一軒家。 周囲の住民がうらやむ優雅な暮らしをしている夫婦がいる。 そんな夫婦のもとへ、ある日「訪問者」が現れた。 チャイムの音を聞きドアを開けると、立っていたのは男二人。 彼らは、最近この町で起こっている連続強盗殺人事件を取…